研究概要 |
現在までに, ヒトおよびラット実験乳癌を用いて, 乳癌組織中に, エストロゲン依存性プラスミノーゲンアクチベーターが存在することを証明している. 昭和62年度は, この乳癌組織中のプラスミノーゲンアクチベーターの, 分離と精製を目標にして, 研究を続けてきた. 方法は, SDSゲル電気泳動法を用いて, まずラットのDMBA乳癌組織中のプラスミノーゲンアクチベーターを分離したところ, 分子量約50000及び18000の2つのサブタイプが存在することが判明した. 現在, ヒト乳癌組織から抽出液においても同様の研究を行っているが, 未だ明確な結果は得られていない. 傾向としてはヒトにおいては, エストロゲンレセプター陽性の乳癌と, エストロゲンレセプター陰性の乳癌とで, そのプラスミノーゲンアクチベーターのサブタイプに違いがあるようだが, 現段階ではまだ明確にし得ていないのが現状である. この点をより正確にするため, 現在, エストロゲンレセプター陽性の乳癌培養細胞MCF-7, およびエストロゲンレセプター陰性の培養細胞Br-10を用いて, その培養液中に分泌されるプラスミノーゲンアクチベーターの分離を試みている. 昭和63年度は, この点を明らかにし, 乳癌のホルモン依存性を予知するマーカーとしてのプラスミノーゲンアクチベーターを確立したいと考えている.
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