今年度は、主に昨年度施行された実験結果の再現性を確認した。まず活性炭吸着マイトマイシンC(MMC-CH)の腹腔内投与が宿主免疫能に及ぼす影響を検討した。MMC-CHはマイトマイシン水溶液(MMC-AQ)に比し脾及び胸腺重量の減少が少なく、腹腔浸出細胞(以下PEC)の数は、MMC-AQ投与では1日目に顕著に減少し7日目に正常PEC数に回復するのに対し、MMC-CH投与では逆に1日目に著明に増加し以降漸次減少し7日目に正常PEC数に戻った。また、ConA刺激に対する脾細胞芽球化能に対し、MMC-CH投与群ではMMC-AQ群に比して抑制が軽微であった。LD_<50>値の検討をすると、MMC-AQが8mg/kgであるのに対し、MMC-CHでは18mg/kgであった。次いでMMC-CHの腹腔マクロファージ(PM)の活性化能についてみた。MMC-CHをマウスに腹腔内投与するとPM数の増加および殺細胞活性が増強され、しかも長時間持続することがわかった。一方、MMC-AQの投与ではPMの殺細胞活性がMMC-CHと同程度まで増強するもののその持続時間は短く、PMの数も投与後5日間は正常マウスより明らかに減少した。MMC-CH、MMC-AQを投与後の各PMを採取して超音波破砕すると、MMC-CH投与群ではMMC-AQ投与群より高濃度のMMCが検出された。また、その破砕液はMMC-CH、MMC-AQ投与群ともに殺細胞活性を有し、MMC-CH投与群でより高値であつた。MMC-CH腹腔内投与ではMMC-CHが大網に長時間付着し腹水中にMMCが投与後72時間まで検出された。次にP-388腫瘍をBOF_1マウスに腹腔内投与した後MMC-CHあるいはOK-432を腹腔内投与してその生存日数を検討した。上記2剤併用投与は、MMC-CHあるいはOK-432単独投与はに比して明らかにmedian survival timeの延長が認められた。即ち、MMC-CHに免疫賦活剤を合併投与することにより、よりその効果を増強出来ることが判った。
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