研究概要 |
肝内結石症に対する新しい治療法の開発の試みとして, フィブリン包埋結石摘出法及び電気水圧衝撃波による砕石法とを組み合わせて治療する方法の基礎的検討を行なった. 本年度はフィブリン包埋法に関してはフィブリン〓の強度および胆道内でのフィブリン〓の溶解性について基礎的に検討した. 胆道内での溶解性に関しては胆道モデル内で作製した直径約8mmの円筒状のフィブリン〓を37°Cの胆汁内に留置することにより6時間以内にほぼ全て溶解するが, 生理食塩水内ではその溶解に24時間以上を要した. また, フィブリン〓の強度に関しては造影剤のウログラフィンを約30%の濃度にして添加した場合, どの程度に強度が低下するかについて目下のところ検討中であるが, 実質的には強度の低下は問題にならないと考えられるが, 現在その基礎的データーをまとめつつある. 次いで, 電気水圧衝撃波により砕石法に関しては, 多数の臨床例に応用した. とりわけ, 再発胆内結石症の治療を行なった症例の結果については報告した. (消化器外科, 11巻, 頁109-114, 1988)さらに, 総胆管結石症の遺残結石例をT字管を介して砕石したり, PTGBDを介して胆のう結石を砕石したり臨床的に種々の症例の砕石を行なってきたが, 何ら合併症もなく確実に砕石することが可能であった. 本法に関しても同時に結石の種類による砕石力の相違や,フィブリン包埋法との合併による効果についても, 現在検討をすすめているところである.
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