肝内結石症に対する新しい治療法の破発の試みとして、フィブリン包埋結石摘出法及び電気水圧衝撃波による砕石法とを組み合せて治療する方法の基礎的・臨床的検討を行なった。 昭和62年度にはフィブリン〓の強度および胆道内でのフィブリン〓の種々の条件による溶解性について基礎的検討を行なった。しかしながら、フィブリン〓の作製に用いるフィブリノーゲンの抗原性処理の問題にて人体に応用するひとが不可能となったため、現在、臨床使用可能なフィブリン糊を代用として再度検討中であるためこのデーターは未発表である。 昭和63年度には肝内結石症患者に対して電気水圧衝撃波砕石法の臨床応用を行ない、その成果の一部は日本胆道学会にて発表した。その結果としては肝内結石再発例や遺残肝内結石症に対しては浸襲も少なく有効な治療法であり、何ら合併症をきたすことのない安全な治療法であることが判明した。しかしながら、いまだ症例数も少なく今後の検討を要すると考えられた。また、胆道狭窄に対するバルーン・ブジー法は2例に行なったが有効であり、今後症例数の増加とともに報告する予定である。しかし、電気水圧衝撃波による砕石法の効果や再発率に関しては多数の症例と表期の予後が検討されるべきであると考えられ、現在も検討中である。
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