研究課題/領域番号 |
62570580
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
太田 和夫 東京女子医科大学, 第三外科, 教授 (40090659)
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研究分担者 |
河合 達郎 東京女子医科大学, 第三外科, 助手 (40186044)
本田 宏 東京女子医科大学, 第三外科, 助手 (30147384)
渕之上 昌平 東京女子医科大学, 第三外科, 助手 (10147382)
寺岡 慧 東京女子医科大学, 第三外科, 助教授 (20147383)
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研究概要 |
臓器移植において、臓器のviabilityを判定する適切な方法は現在に至ってもえられておらず、移植後にその臓器の機能が発現するか否かによって初めてこれを知るというのが現状であった。本研究は、保存臓器の細胞内高エネルギーリン酸化合物(ATP、ADP、AMP、NAD、Pi)を^<31>P-NMR spectrometerを用いて測定しviabilityの指標となる因子について検討を加えた。マウス肝を用い摘出肝灌流モデルを作成した。まず、低温浸漬保存された肝について測定を行った。その結果、I.保存後ATPは急激に減少し約10分後には検出不能となった。II.無機燐Piは徐々に増加し30分で前値の170%に増加した。III.低温浸漬保存後Krebs-Henseleit液で肝を再灌流を行ったところ低温阻血1時間ではATPの完全回復が認められた。IV.低温阻血10時間以上ではATPの回復は5%以下であった。次にCa channel blockerであるVerapamilを門脈内より前投与した後低温阻血を加え測定を行った。その結果、I.保存後ATPは減少したが60分後においても検出可能であった。II.無機燐Piは徐々に増加したが30分で前値の140%に増加した。III.低温浸漬保存後再灌流を行ったところ低温阻血1時間ではATPの完全回復が認められた。IV.低温阻血24時間でも再灌流後ATPの約70%の回復が認められた。V.再灌流ATPの回復するものでは再灌流前のMonophosphateと無機燐の比が0.5以上と高く保たれていた。以上の結果から、I.長期低温浸漬保存においてはATPは必ずしもviabilityの指標とはならない。II.verapamilは低温阻血肝においてATPを保存させる効果がある。III.monophosphate esterと無機燐の比は低温阻血肝においてviabilityを示す指標の1つとして重要である。
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