研究課題/領域番号 |
62570592
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 祐三 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40143515)
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研究分担者 |
関口 守正 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60012712)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / 抗αフェトプロテイン単クローン抗体 / 抗CEA単クローン抗体 / immunoliposome / Boron-10複合体 / 熱中性子 |
研究概要 |
昨年度までに、われわれが作製した抗αフェトプロテイン単クローン抗体以下AFP-MoAb)を用いて、抗体1分子当り最大1240個の^<10>B原子を結合させることができ、標的細胞であるAFP産生肝癌株AH-66細胞と反応させた後、熱中性子照射を行うことにより細胞障害効果が得られることをin vitroで証明した。 今年度は、ヌードマウスにAH-66細胞を皮下移値し腫瘍塊を作り、経静脈的に^<10>B-MoAb複合体を投与し、腫瘍への集積性を京都大学原子炉実験所の即発γ線測定系を用いてin vivoの系で測定した。^<10>B-αAFPMoAb複合体を投与した場合は、対照の抗DNP-MoAbを用いた場合と比較して、有意に高い^<10>B原子の集積を示した。さらに臨床応用が広いと思われる抗CEA-MoAbに^<10>B化合物を封入したLiposomeを結合させ、中性子捕捉療法の可能性を検討した。^<10>B化合物をLiposomeに封入し、SPDP法にて抗CEA-MoAbを結合させimmunoliposomeを作製した(以下^<10>B-Lip-MoAb)。このimmunoliposomeをCEA産生ヒト膵癌株AsPC-1細胞と反応させ、立教大学原子炉にて5×10^<11>〜5×10^<12n>/cm^2の熱中性子を照射した。この結果、熱中性子照射群では^<10>B-Lip-MoAbにより硼素化された細胞は、非硼素化群の^3H-thymidineの取り込みの約25%であった。すなわち硼素化腫瘍細胞に熱中性子を照射することで細胞障害効果が示された。このLiposomeに含まれる^<10>B化合物の濃度は、多層性Liposomeの場合には500μg/g、単層性の場合には100μg/gという高濃度の^<10>B化合物を封入できた。従って細胞1個あたりに検出された^<10>B原子数は1.2×10^9個となり、この価は効果的な中性子捕捉療法を行うのに十分な量であった。
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