研究概要 |
1 食道癌切除固定標本のパラフィン包埋ブロックを用い, フローサイトメトリーにて癌細胞核DNA量の測定を112例に対して行い以下の知見が得られた. (1)DNAヒストグラムのパターンより, 以下の4群に分類が可能であった. TypeA:左右対称の一峰性でDNAIndex(D.I)=I.D euploidを考えられるもの. TypeB:一峰性で左右非対称のもの. TypeC:first peakの右肩にsecond peakの出現をみるもの. TypeD:明らかな二峰性を示すもの. またTypeBCDはabnormal sten lineを有していると考えられaneaploud群として一括検討した. (2)病理組織学的深達度, リンパ筋転移, 脈管侵襲とploidy patternとの間には関連は認められなかった. (3)組織型との関連において 扁平上皮癌の低分化型でaneuploidy群の占める割合が高分化型, 中分化型に比して有意に高率であった. (4)術後遠隔成績との関連ではeuploidy群はaneaploidy群に比べ5年生率が有意に良好であった. (5)DNA ploidy patternにより予後の推測が可能となり食道癌における悪性度規定因子の一つとなりうることが示唆された. 2 培養細胞を用いた細胞周期の検索に際し, 制癌剤によりDNAヒストグラムに大きな変化が生じた場合, DNAの測定だけでは分析が不十分と考えられた. このためDNA合成期のDNAに取り込まれるThymidine類似物質であるBromadeoxyuridine(Brdu)とそのFITC標識抗体とを併用したDNA/Brdu二重染色法を用い, 培養細胞に与える制癌剤の影響についてフローサイトメトリーにより細胞周期上の変化を検討する予定である.
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