研究課題/領域番号 |
62570602
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏志 三重大学, 医学部, 教授 (20004632)
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研究分担者 |
山本 純二 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (20144272)
松本 好市 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80024694)
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キーワード | 大腸癌 / フローサイトメーター / DNA / BrdU |
研究概要 |
大腸癌では腫瘍細胞のDNA ploidyと予後との関連については必ずしも意見の一致をみていない。本研究では51例の大腸癌についてflow cytometric DNA analysisをおこない、DNA ploidyおよびproliferation index(PI)と臨床病理学的な因子との関連を検討した。病期の進んだものは、aneuploidの腫瘍に多くみられたが、DNA ploidyは患者の性、年令、腫瘍の占居部位、組織型、深達度、リンパ節転移、遠隔転移のいずれとも相関を認めなかった。PIは病理組織学的リンパ管侵襲との間に相関を認めたが、他の諸因子とは相関せず、DNA ploidyとの間にも相関を認めなかった。すなわち大腸癌のDNA ploidyおよびPIはそれぞれに、また他の臨床病理学的因子と独立した因子であり、aneuploidのもので病期の進行したものが多いことが知られた。次いで大腸癌培養細胞株3例および大腸癌臨床検体41例を対象としてBromodeoxyuridine(BedU)標識DNA flow cytometryをおこなった。すなわち、FITC抱合BrdUモノクローナル抗体でS期細胞をin vitroにTITC標識し、さらに細胞核DNAをPropidium lodine染色して、フローサイトメーターにかけDNA ploidyを決定するとともに%Sを算出した。BrdUの取り込みは培養細胞株ではmiddle S phaseを中心に、臨床検体ではearlyおよびlate S phaseを中心にみられた。臨床検体の検討では、大腸癌部は正常平坦粘膜に比べ%Sが高く、深達度ss以上の群もpmまでの群に比し、有意に%Sが高かったが、%Sと他の臨床病理学的事項の間には有意な関連は見いだせなかった。DNA ploidyは臨床病理学的所見と特に関連はなく、diploid群とaneuploid群で%Sに有意差を認めなかった。
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