研究概要 |
Zollinger-Ellison症候群患者においてセクレチンを静脈内投与すると血清がストリン濃度が上昇する現象の機構解明のためヒトのガストリノーマ細胞とヒト・犬・ラットの正常胃粘膜G細胞のセクレチン受容体の存在の確認とその反応性を究明した。 1.培養ガストリノーマ細胞における実験。培養短期でセクレチン負荷をすると、ガストリノーマからガストリンがセクレチン濃度依存性に放出された。これらの細胞と^<125>I標識セクレチンとの結合実験は細胞数が少なかったため有意の成績がえられなかった。 2.ガストリノーマを有すZollinger-Ellison症候群患者でガストリノーマの栄養動脈内にセクレチンを注入し肝静脈血を採取する実験を12名に施行した。ガストリノーマに20単位のセクレチンが注入されると肝静脈血中ガストリン濃度(HV・IRG)が20〜40秒で上昇した。 3.上記のセクレチンのガストリノーマに対する直接作用を利用して現在難治性疾患であるガストリノーマの根治術を合理的根治的手術に改変するための新しい方法を完成した。すなわち選択的動脈内セクレチン注入法による局在診断と術中迅速ガストリンアッセイを利用したセクレチン試験による根治性の確認法である。これらの方法を使用した4人の患者は根治的切除により完全治癒している。 4.ヒト・犬・ラットの正常胃粘液G細胞のセクレチンに対する反応性の実験。ヒトと犬ではG細胞からのガストリン放出が認められたが、ラットではG細胞の反応性は低く種差が認められた。現在、messengerと思われるcyclic AMP,GMPなどの変化を究明している。G細胞内の情報伝達機構がガストリノーマのそれと同一かどうか極めて重要な課題であり、胃潰瘍発生、十二指腸G細胞との関連上更に研究しなければならない。
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