研究課題/領域番号 |
62570606
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 一知 京都大学, 医学部, 講師 (90168435)
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研究分担者 |
鈴木 敞 山口大学, 医学部, 教授 (20026834)
矢島 治明 京都大学, 薬学部, 教授 (00025678)
戸部 隆吉 京都大学, 医学部, 教授 (70025641)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | レーザードップラー血流計 / 超音波トランジットタイム血流計 / 腹部臓器血行動態 / 意識下血行動態 / プロスタグランディン / EGF / 部分自家膵移植 / 移植膵血流動態 |
研究概要 |
昭和62〜63年度における研究実施計画に対する概要は以下の通りである。1)レーサードップラー血流計及び超音波トランジットタイム血流計を併用することにより、腹部臓器血行動態を有機的に捉えることが可能となり、特にこれまでその測定が困難とされてきた門脈血行動態を明らかになし得た意義は極めて大きいといえる。2)プロスタグランディンの消化器臓器血行動態に及ぼす影響について検討した結果、これが肝血流を増加させる作用を有することがわかり、肝切後の肝再生にとっても合目的な働きを有する可能性が示唆された。3)肝再生に重要な役割を担うとされるEpidermal Growth Factor(EGF)が門脈血流量を増加させることを明らかにしたが、この知見は、EGFの肝再生作用機序を考慮する上において大変示唆に富むものであるといえよう。4)新しい合成ペプタイドであるKassinin、PYY、GIP等の腹部臓器血流に及ぼす影響を観察し、それぞれの生理的意義や消化器臓器血行動態に対する統御機構を明らかにし得た。5)犬を用いて超音波トランジットタイム血流計のプローベを肝動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、さらに門脈等に麻酔下開腹下にて装着後、接続端子を腹壁を通して背部の皮下に埋めこみ、意識下でしかも安定して腹部臓器血行動態変動を観察することに成功した。このモデルは、今後生理的な消化器血行動態の解明に役立つのみならず、種々の外科的侵襲(臓器切除や病態作製)後の臓器血行動態の究明にも寄与するところが極めて大であると考える。6)部分自家膵移植後の機能保持や血栓形成の問題を究明するためには、移植膵における血行動態の把握が不可欠となる。膵移植操作前後、すなわち脾摘前、脾摘後および膵部分自家移植後で血流動態を検討した結果、1)脾摘前後で膵血流量は有意の変動を示さない、2)部分膵自家移植後にはむしろ膵血流量は有意の増加を示す、という興味ある知見を得ることができた。
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