研究課題/領域番号 |
62570616
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
安藤 暢敏 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (90101972)
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研究分担者 |
中島 顕一朗 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (30180285)
藤田 直也 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (30181358)
大森 泰 慶應義塾大学, 医学部・外科学教室, 助手 (00169070)
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キーワード | 人工食道 / 細胞培養 / 培養表皮細胞浮遊液 / Cell-seeding法 / 結合織管 / 上皮化 |
研究概要 |
体内型人工食道実用化において最大の障害である縫合不全と狭窄を回避すべく、プロテ-ゼ内腔の速やかかつ均一な上皮化を目的として以下の実験を行った。プロテ-ゼとしてMicro poreを有する金属メッシュ管をシリコンコ-ティングしたものを作製した。これを雑種犬及びラットの広背筋弁内に埋没したところ2から4週で、異物反応の少ない良好な肉芽組織を有する結合織管を作製し得た。この結合織管内腔を上皮化するために、EGFを応用した皮膚迷入法を試みたが、感染の危険が高く、迷入した皮膚は隆起して増殖する傾向を示し均一な上皮化は困難であった。EGFの応用も試みたが、明らかな上皮化促進効果は認められなかった。そこで今年度は培養表皮細胞浮遊液の注入播種を試みた。培養表皮細胞浮遊液の作製を以下の方法で行なった。1.雑種犬およびラットの背部皮膚を剃毛消毒後、2×2cm大に採皮。2.抗生剤入りPBSで洗浄後ディスパ-ゼ処理。3.表皮と真皮を剥離。4.表皮をトリプシン処理。5.遠心。6.回収した細胞をKeratinocyte Growth Mediumで培養。7.表皮細胞がConfluencyに達した時点でトリプシン処理。8.DMEMを加え培養表皮細胞浮遊液とする。プロテ-ゼ埋没後2から3週で培養表皮細胞浮遊液を結合織管腔内に注入播種したところ、その一部に生着が認められた。病理組織学的検索では、生着した表皮細胞は底部で敷石状配列を示し、重層化の傾向を認めた。以上の実験結果より、培養表皮細胞浮遊液注入播種法と人工食道内腔上皮化に有用であると考えられ、ハイブリッド型人工食道開発の可能性が示唆された。そこでより均一にしかも速やかに上皮化させるために、培養法の改善による注入細胞数の増加、培養表皮細胞シ-トの応用、コラ-ゲンの応用につき現在実験検討中である。
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