研究課題/領域番号 |
62570621
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
山村 学 関西医科大学, 医学部, 講師 (60077732)
|
研究分担者 |
浜田 吉則 関西医科大学, 医学部, 助手 (00172982)
上辻 章二 関西医科大学, 医学部, 講師 (20148505)
|
キーワード | 必須微量元素 / セレニウム / 消化器癌 / 科学膵発癌 |
研究概要 |
必須微量元素セレニウム(Se)は金属酵素グルタチオンペルオキシターゼ(GSH-Px)の活性中心に含まれ、今日発癌抑制作用において注目されている。そこで実験的に動物科学発癌におけるSeおよびGSH-Px活性のヒト膵癌に近似するとされるハムスターのN-nitrosobis(2-oxypropyl)amine(BOP)による科学誘発膵臓癌における影響について検討した。 方法:生後4週令のシリアンゴールデンハムスター104匹をカゼインを含む半合成低いSe食にて飼育し、一群には0.1、他群には4.0ppmのSeを飲料水として投与した。各群42匹に10mg/kg体重のBOPを生食水に溶解し、各週1回、計10週にわたり皮下に注射した。また各群10匹は対照として、発癌剤の投与は行わず生食水のみを投与した。発癌剤投与後18週に採血の上、各動物を屠殺し、肝・胆・膵臓を摘出した。血液は血清分離しそのSe濃度およびGSH-Px活性を測定するとともに、各臓器の肉眼的観察を行った後、10%ホルマリン固定後病理組織学的検索に供した。 結果:有効として検討した低Se群41匹、高Se群42匹の膵癌発生率はそれぞれ71%および57%であり高Se群に発癌抑制傾向が認められた。血清Seは低Se発癌剤投与群、非投与群それぞれ151ppb、106ppbを示したのに反し高Se発癌剤投与群、非投与群ではそれぞれ266ppb、322ppbと高Se群で有意の高値を示した。しかしがなら、GSH-Px活性は発癌剤投与群では非投与群に比し一般に低値を示し、高Se群6.3、低Se群5.6U/g proteinと有意差は認められなかった。 考察:高Se群で膵癌の発癌抑制が認められ血清Seも有意の高値を示したが血清GSH-Px活性には有意差は認められなかった。以上のようにSeの発癌抑制の機序についてはGSH-Pxを介する以外に何からかの抑制機序の存在する可能性が示唆された。
|