研究課題/領域番号 |
62570623
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
豊坂 昭弘 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20068498)
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研究分担者 |
能勢 勝義 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30189401)
光信 正夫 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70148667)
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キーワード | 小児癌 / 細胞学的特性 / 細胞学的計測 / DNA解析 / 神経芽細胞腫 |
研究概要 |
〔目的〕小児癌は増殖速度が早く、進行したものが多いにもかかわらず一般に成人の癌に比し遙かに良好である。この予後の差は増殖力の差異以上に化学療法の感受性の差異が最大の要因と考えられる。しかし何故に化学療法に感受性の差があるかは殆ど解明されていない。又、神経芽腫は年齢により大きな予後の差が認められるがこれについても不明である。本研究では小児固型癌の腫瘍細胞をcytometricalに分析し、更に小児癌のDNA分析を行い遺伝子学的な面からも小児固型癌の特性を分析した。 〔方法〕小児固型癌症例としては小児肝癌36例、神経芽腫76例、ウィルム腫46例の腫瘍について画像解析装置を用い、細胞学的計測を行った。同様に胎生6週から28週までの胎児18例について検索した。一部は腫瘍DNA解析をflow cytometryにより核DNA量を分析した。 〔成績・結論〕腎芽腫及び肝芽腫ではいわゆる核、細胞共小型で均一な像を示し、未分化というより胎児腎芽細胞に類似した胎児細胞からの偏位の少ない所見を示した。これに対しunfavoroble typeの腎腫瘍又は成人型肝癌では核・細胞共大型で異型性が強く、anaplasia様の所見を示し細胞形態像からは成人の腎癌又は成人の肝癌と同様の値を示した。神経芽腫は1才未満の例では核・細胞共小型で正常新生児より著しく未熟であった。しかし、加齢と共に核・細胞共有意に増大を示した。神経芽腫は他の体細胞と異なった発達過程を示したが、神経芽腫の加齢による変化はこの神経細胞の胎児からの発達過程を示したが、神経芽腫の加齢による変化はこの神経細胞の胎児からの発達過程と著しく類似していた。神経芽腫52例のDNA分析ではAneuploidyが79%を占め、Aneuploidyは1才未満例に比率が高く、予後もdiploidyに比し良好であった。以上、小児癌の特性は正常胎児組織からの偏位の少ない未熟な細胞形態にあり、このことが増殖力は旺盛だが化学療法に感受性の高い最大因と示唆された。
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