研究分担者 |
斉藤 憲 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員
藤田 康雄 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員
金沢 宏 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (10177496)
富樫 賢一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (80167527)
|
研究概要 |
本研究は重症弁膜症の開心術後の黄疸性肝障害の成因を肝の血行動態, 血清生化学, さらに形態に視点をおいて検討することが目的である. まず, 血清生化学面では, 62年度で最も進展しており, 胆汁酸負荷試験による胆汁酸の動態を加えた術前肝機能が, 術後にいかなる動態を示すかを検討し, 術後早期の胆汁うっ滞の程度を予測させる因子を見出すことをおこなった. この成果は, 第40回日本胸部外科学会総会にて「胆汁酸負荷試験による開心術後の胆汁うっ滞性高ビリルビン血症の術前評価と術後対策」という演題の中で混合静脈血酸素飽和度が60%未満で, かつ, 胆汁酸負荷時の胆汁酸最大値が20〓〓/L以上の群の症例では, 開心術後の直接型ビリルビン優位の高ビリルビン血症を来たす傾向のあることを, 発表した. また, 同学会で「ビリルビン(B〓)値による開心術後早期の高ビリルビン血症の予後判定に関する研究」のなかで, ビリルビン分画, とくにB〓の追跡が開心術後の高ビリルビン血症の病勢の把握と予後の判定に有用であることを発表した. 今後, さらに症例を重ねて, 論文とする予定である. 次に, 形態面の研究では, 依然として, 動物実験段階であり, しかも症例数がまだ少なく, 現時点では, 安全性が確立しておらず, さらなる検討を要している. ただ, バイオプシーされた標本は, 光顕では肝組織と判定可能であった. 最後の血行動態面に関しては, 肝静脈圧と心機能との関係が集積されつつあるが, 局所熱稀釈法による肝血流量の測定は, 測定プロトコールとキットの習熟につとめている.
|