研究課題
本年の形態面での研究ではの動物実験から、経静脈性肝生検が有効に施行できるか、また、その安全性はどうかについて検討した。成果は、第29回日本脈管学会総会にて「経静脈性肝生検の有用性と安全性」と発表し、「(1)急性期の血清学的変化の検討から、肝の逸脱酵素の有意の上昇はなく、肝組織の崩壊に伴った胆汁流出は、胆汁酸でみる限り有意の増加を示さなかった。さらに鉗子の挿入に伴う肝被膜の損傷等は認められず、以上から、急性期には安全に肝生検が出来た。(2)その有効性に関しては、血管内腔により鉗子の開閉が制限されるうる点、比較的中枢側での生検では、厚い血管壁が採取される可能性が高い点なでから不十分であると結論した。」と報告した。次に血清生化学面では、これまでの胆汁酸負荷試験による検討のほか、今回、開心術後早期の腎不全の臨床例の検討を行った。この成果は、第41回日本胸部外科学会総会にて「開心術後早期に発症した急性鴨腎不全の検討」として報告した。この中で、急性肝腎不全の主因は、術中ショックか難治性心不全であり、前者では、術前肝障害を認めない例は、肝炎型を、肝障害を認めていた例は劇症肝炎型の肝不全を呈しており、一方後者では、全例ピリルビン値の漸増を呈し、黄疸を特長とした。うつ血型肝不全を呈していた。と発表した。今後は病態に応じた治療を行うことが肝要であり、特に後者の黄疸性肝障害例に対しては、早期から臓器循環を維持するべく、心不全のちりようと早期から利胆を促す薬剤の投与が、予防策として有効であると示唆された。血行動態面では、犬の肝静脈が多枝に分枝しており、しかもカテーテルの挿入により、分枝の血流量は、ある程度測定可能であるが、全肝血流量は測定できず、核固体間での、一定の評価ができない状況であり、今後の検討課題としたい。
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