研究課題/領域番号 |
62570635
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
村岡 隆介 福井医科大学, 医学部, 教授 (10026924)
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研究分担者 |
井隼 彰夫 福井医科大学, 医学部, 助手 (70142841)
千葉 幸夫 福井医科大学, 医学部, 講師 (30111959)
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キーワード | 乳児心筋保護 / セレン欠乏 / グルタチオンパーオキシダーゼ / 過酸化脂質 / 再灌流障害 |
研究概要 |
心筋保護法の研究により、成人では3時間の大動脈遮断は安全に行えるようになったが、乳児では高々1時間が安全域と考えられる。その原因についてはいまだ決定的な解明はされていない。この研究は過酸化物の分解酵素であるglutathione peroxidase(GSHDx)の不可欠成分のセレン(Se)が、乳児では少なく、GSHPx活性が低下していることに注目し、この事が乳児心筋保護効果が不良な主原因ではないかと考え、これを証明することを目的としている。62年度の実験で、ラットを生後8-12日の乳児ラット、Se欠乏食で約3ヶ月飼育したSe欠乏食ラット、普通食で飼育したコントロールラットに分け、心筋内Se濃度、GSHPx活性、心筋ミトコンドリア内CoQ_9、CoQ_<10>、過酸化脂質を測定した。63年度は、同様に分けたラットの血清Se濃度、GSHPx活性を測定。またSe欠乏食ラットとコントロールラットの摘出心のworking heart proparationを用いて灌流実験を行った。方法は摘出心をmodified Krebs-Henseleit液、80cmH_2Oで逆行性に灌流した後、4℃60分間の心停止後、37℃modified Krebs-Henseleit液、前負荷13cmH_2Oで再灌流し、30分経過した時点での心機能を測定した。結果は、血清Se濃度、GSHPx活性は、いづれも乳児ラット、Se欠乏食ラットはコントロールラットと比べ有意に低値を示した。灌流実験では、心停止前は両群で差は無かったが、再灌流後は大動脈収縮期圧、心拍出量、左室dp/dtはSe欠乏食ラットは有意に低値を示した。以上の結果、Se欠乏食ラットは心筋保護効果が不良であり、これは低Se、低GSHPx活性のため再灌流の際、過酸化脂質産生により細胞機能障害を来したためと考えられた。乳児ラットでもSe欠乏食ラットと同様の可能性が示唆される。
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