研究概要 |
ヒトgliomaおよびヒトneuroblastoma由来細胞株における神経分化抗原の発現を脳特異蛋白であるGFAP, S-100蛋白, NSEと細胞表面抗原としてfibronectin, 我々が作成したモノクローナル抗体によって同定されるglioma関連抗原について免疫組織化学, 或はimmuno-blot法により検出した. その結果ヒトglioma細胞の可溶化溶液をSDS-PAGEにて解析した結果, GFAPは40〜50Kd, NSEは50Kd, fibronectinは230Kd, glioma関連抗原は67Kd領域にbandとして検出された. さらにそれらの抗原量をdot-blot法あるいはELISA法により定量する方法を確立し測定した結果細胞株により発現量が異っていた. 次に発癌遺伝子であるN-rasおよびN-mycの発現をnorthern blotting法およびsouthern blotting法にて解析した結果, ヒトneuroblastoma細胞株同様ヒトglioma細胞株ならびにヒトglioma手術材料にN-ras, N-myc共に発現が確認された. その発現量はglioma細胞株間で差は認められるもののいずれも正常細胞株あるいはヒトhepatoma細胞株に比して多かった. またレチノイド誘導体の一つであるDMSOによるN-ras発現量の変化を調べた結果1.25%DMSOの暴露によりN-ras発現量は2〜4倍減少する傾向が観察された. このことはglioma細胞株におけるN-rasの機能がその分化と関連があるのではないかと示唆された.
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