研究概要 |
免疫学的に特殊な部位であると考えられていた脳実質内にも, マウス1a抗原やヒトHEA-DB抗原が存在することから, 免疫応答が生じる可能性が示唆されるようになった. そこで, グリオーマ患者における免疫応答の機能低下の有無を調べる目的で, 患者の抹消リンパ球からのインターフェロン産生能を調べたところ, Karnotsky scaleが80%ある比較的状態の良い患者でも, リンパ球からのインターフェロン産生能は極端に低下していることがわかった. また, 臨床でよく用いられているニトロソウレア系制癌剤であるACNUは, 骨髄抑制が強く生じることでよく知られており, 患者の痙攣予防の目的で用いられているフェニトインも, 免疫系を抑制するといわれている. そこで本年度は 1)脳腫瘍患者における病態(Karnofdky scale)と, 末梢リンパ球からのインターフェロンの産生能を調べたところ, グリオーマと診断のついた比較的早期の時期より産生能の低下がみられ, 脳実質内にある腫瘍から直接あるいは間接的にも免疫抑制が働いている可能性が示唆された. 2)現在マウスグリオマトーシスモデルを作製し, その機転回復の有無について検討中である. 3)フェニトインのみならず, フェノバルビタールやバルプロ酸ナトリウムの免疫機能への影響について正常マウスを用いて調べた. その結果は, フェニトインが最も強く免疫機能を低下させており, バルプロ酸ナトリウムが最も副作用がすくなかった. しかしいずれの場合も, LAK細胞の抗腫瘍効果には影響を与えなかった. 4)現在, この正常マウスに生じた各種抗ケインレン剤による免疫抑制について, 画BRMがその病態を改善しうるかどうか調べているところである. 5)本年度よりさらに, 制癌剤等により生じた骨髄機能低下について, 各種BRMがその免疫機能を改善しうるかどかについて, マウスを用いて比較検討中である.
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