研究概要 |
基礎実験として, Wistar rat20匹を用い(1)高度閉塞群として, 両側頚動脈及び田村らによる1側中大脳閉塞を, (2)中等度閉塞群として, 1側頚動脈閉塞と同側の中大脳動脈閉塞を, (3)軽度閉塞群として1側中大脳動脈のみを閉塞して3群の閉塞モデルを作製し, 脳梗塞の程度とEvens BlueによりBlood BrainBrudiの障害程度を検討した. その結果, 高度閉塞群では1側大脳半球のほぼ全域に虚血巣を認め, 又広範囲にevens blueの漏出を始めた. 中等度閉塞群では, 即頭葉及び頭頂葉の白質と皮質部に虚血巣と, evans blueの漏出, 又軽度閉塞群では, 側頭葉の皮質及び海馬に虚血巣の変化を認め, 一部にevans blueの漏出を認めた. つぎにWistar rat40匹を用いて, これら3群の閉塞モデルを作製し, MRI画像の変化, Gd(ガドリウム)注入によるT_1値の変化及び虚血後の総自由水の変化を計測し以下の結果を得た. (1)MRI画像では, 高度閉塞群で閉塞6時間後でT_2画像に変化を認め, T_2値の延長を認めたが, 軽度, 中程度閉塞群では変化を認めなかった. しかし閉塞12時間後では, 軽度及び中等度閉塞群においてもT_2画像に変化を認めT_2値の延長を認めた. 又24時間後では, T_1及びT_2画像でも, 高度, 中等度, 軽度閉塞群において虚血巣の検出が可能であり, T_1及びT_2値の延長を認めた. (2)正常ラットにおける脳組織の自由水含量は単位体積当り, 66.6±5.1%, 閉塞群では閉塞6時間後, 72.6±2.9%, 12時間後74.2±2.7%, 24時間後84.1±4.3%, 48時間後89.6±2.9%であり, 12時間以降優位に増加した. (3)Gd注入により, 高度閉塞群では6時間後より, 又中等度及び軽度閉塞群では12時間後にT_1値の短縮を認め, Gdは虚血性浮腫の診断に有用であることが判明した. 以上より, 虚血性脳浮腫において, MRIはT2の方が鋭敏であり, T_2値は脳組織変化, 結合水変化に対し, T_1は自由水度化に対応するといえる.
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