研究概要 |
脳虚血急性期でのMRI画像の特徴について検討するため,ラット及び猫での中大脳動脈閉塞による脳虚血モデルを用いて以下の実験を行った。 ラット50匹を用い,田材等の方法による中大脳動脈閉塞及び頸動脈閉塞により軽度及び高度虚血を作製し実験用NMRにて,T_1T_2値,自由水度化を測定した。その結果,MRIでは閉塞6時間で変化なく12時間後にT_2画像のみに変化を検出し,24時間後にT_1&T_2画像とも虚血性変化を検出し得た。(2)虚血ラットにおける脳組織の自由水含量は,12時間以降有意に増加した。(3)Gd注入により高度虚血群では,6時間後よりT_1値の短縮を認め,虚血性浮腫の診断に有用であった。以上より,虚血性脳浮腫において,MRIはT_2の方が鋭敏で,Gdは虚血性脳浮腫の早期診断に有用であった。又T_2は脳組織度変化,結合水変化に対応し,T_1は自由水変化に対応することが示唆された。 (2)急性脳虚血時でのlactate濃度変化を検討するために,Prtonmagnetic risnance spectiscpy(^1HーMRS)を用いて,猫の虚血モデルでのlactateの濃度変化を測定した。方法は成猫9匹を用いて,経眼窩的に中大脳動脈を閉塞し,又頸動脈を閉塞することにより軽度,高度虚血モデルを作製し,^1HーMRSを用いて,lactate濃度,lactate/NAcAapを求めた。^1HーMRSによりlactate濃度を測定する場合,lactateは細胞内濃度が1ー10mMの低濃度であるのに反し,水はlactateの1万倍の濃度であるため水の信号をどのように消去するかが問題である。今回の実験で水の信号を消去することにより,^1HーMRSにより,脳虚血時でのlactate濃度の変化を定量的に測定可能であること,又lactateの濃度変化は,虚血程度と虚血時間に相関することが判明した。以上より,^1HーMRSにより,虚血時でのlactate濃度変化を経時的に測定することにより,虚血性病変の診断及び治療に有用であることが判明した。
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