研究概要 |
ラットに慢性電極を装着し、次の手順でデオキシグルコース(DG)による継時二重標識を実施した。 (1)^<14>C-DG,50uCiを腹腔内投与し、正常脳でのグルコース代謝をラベルした。 (2)右運動野皮質に埋め込んだ慢性電極を用い、2時間後より急性キンドリングを開始し、15分毎に18回自己維持性てんかん発作を誘発した。 (3)最終刺激から1時間後に^3H-DG,1mCiを腹腔内投与し、キンドリング脳でグルコース代謝をラベルした。 直後に、ペントバルビタール深麻酔下に脳を剔出し-50℃のイソペンタン中で凍結、クリオスタットで20umの凍結乾燥切片を作成し、^3Hに比較的低感度の通常X線フィルムと^3H感受性フィルムの各々に対し、既知濃度のアイソトープを含むスタンダードと共に脳組織切片を露出した。得られた各オートラジオグラム画像は、前年度に開発済みの画像処理システムによりデジタル画像化し、画像間演算により純粋な一次および二次トレーサの等価OD画像CとHを推定分離した。(H-C)画像の濃度差の頻度分布をみると、二峯性の分布を呈し、二つの正規分布で良く近似でき、中心が0近傍の分布は、キンドリングによっても代謝量が変化しなかった部分を示すと考えられた。代謝量の変化の程度は、この分布からの隔たりとして統計学的に評価した。OD差で約0.2の距離にピークを持つ代謝亢進を示す分布があり、これは、刺激部位周辺及びその対側の大脳皮質、両側の背側線状体、視床、大脳皮質内側面、上丘、中心灰白質、赤核、黒質及び、対側の側頭皮質、背側海馬等の脳部位に相当していた。
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