研究概要 |
引続き定電流直流通電法と抗がん剤の併用療法について基礎的研究を行った。C3Hマウスの大腿部皮下に移植した腫瘍内に刺入する電極の極性についてCyclophosphamide(CPA)が(+)に帯電しているので腫瘍内電極を陰性にした方が陽極にするより当然有効度は大きいと考えられた。しかし血液中には種々の帯電物質が存在することを考えると一概に陰極が有効とも言い切れないので,陰陽極のグル-プを2つ作りCPA100mg/kgを腹腔内投与15分から0.6mA120分の定電流直流通電法を行った。この成績をCPA単独投与と比較した。CPA単独投与では一時期腫瘍の縮小がみられるがすべての腫瘍に再増殖をきたし根治するものはなかった。CPA100mg/kgに腫瘍内電極を陽極として定電流直流通電法を併用すると30%の治療率が得られ陰極の場合は70%であった。治療率からの検討では,定電流直流通電法とCPAを併用すると,CPA単独投与時の約1/2量でCPA単独投与と同等の効果がみられた。Adriamycin(ADM)と定電流直流通電法の併用は腫瘍の発育遅延をひきおこすが,陰陽両極ともCPA程効果的ではなかった。すなわちADM4mg/kg投与で定電流直流通電法を併用すると腫瘍のdoublingtimeの遅延がみられた。また腫瘍電極の極性による差は有意ではなかった。ADMを8mg/kgに増量して通電を行ってみるとADM単独で8mg投与した群とdoublingtimeの差はみられなくなった。(AMD単独投与では8mg/kgに上を投与しても治療成績の向上はみとめられなかった。)すなわちADMと定電流直流通電法の併用はCPAのそれより効果的ではなかった。抗癌剤と定電流直流通電法を併用すると腫瘍内の薬剤分布が変化し治療効果が改善するものと考えられる。
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