高年齢層における骨折の重要な要因に挙げられる骨の老化すなわち骨萎縮の状態を把握するためには、正確な骨量の定量や、骨梁などの構造的な問題の解明が必要とされている。そこで近年、広く行なわれている各種の非侵襲的な骨塩量の定量的画像解析装置で骨塩量を求め、また骨梁構造の関与を知るために力学試験を行ない、組織学的視察から得られた骨量や骨梁幅などのパラメーターと比較、検討した。 (材料)剖検例(男性48例、女性26例、6〜88才、平均年齢59才)より採取した最も変形の少ない腰椎椎体74個を用いた。 (方法)QCT、DPA、DEXA測定、CTは腰椎椎体を水ファントムにいれ、CaCO_3定量ファントムと同時撮影を行ない、椎体のCaCO_3相当量(mg/ml)の骨塩量を算出した。その後、DPAにはNocland社製DBD-2600、DEXAにはHologic社製QDR-1000を用いて測定した。次に椎体を左右対称に2分割し、右側椎体から海綿骨強度試験に左半分を組織学的観察に用いた。力学試験、右側椎体から海綿骨成分のみからなる12×12×16mmの角柱状の試片を89個作製してInstron社製力学試験機を用いて、0.5〓/minの荷量速度で圧縮試験を施行した。ashcontentの測定:試験終了後、試片のCa、P、Mg含有量を湿式灰化法より測定した。組織学的観察:左側椎体から画像解析、力学試験に対する領域の非脱灰HE染色標本を作製し骨量、骨梁幅などの計測を行なった。 (結果)定量的画像解析による骨塩量と組織計測による骨梁との関係は、高い相関が認められるが、骨量の低い骨萎縮のある例ではデータのばらつきが目立った。力学試験では脊椎海綿骨の強度はその構造とCa含有量に依存していた。
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