研究概要 |
1.健常成人における生体内腰椎Coupling Motionの計測 24〜36才(平均27才)の健常成人男性15名に対し, 今回開発した2方向同時X線撮影による腰椎動態解析装置を用い, 腰椎の体軸まわり回旋角度およびそれにともなうCoupling Motionにつき検討し, 以下の結果を得た. 体幹の捻転にともなう腰椎の体軸まわり回旋角度は各椎間とも1°〜2°程度であり高位による差はなく, 腰椎全体として約7°の回旋角度であった. 体幹の捻転にともない腰椎はその捻転方向を凸とし〓4/5椎間を頂点とする側弯を生じまた全体としてその前弯が減少するCoupling Motionを呈した. 2.変性脊椎すべり症における腰椎不安定性に関する研究 40〜79才(平均62才)の変性脊椎すべり症の患者に対し本解析装置を用いて腰椎不安定性の定量を試みた. この結果, すべりにともないすべり椎間での体軸まわり回旋不安定性は増大していた. すべり椎間での前後屈不安定性は健常例と比較し減少していた. すべり度が増すにしたがいすべり椎間での前後動揺性は増大していた. 3.脊椎分離すべり症における腰椎不安定性に関する研究 第4腰椎より仙椎までの新鮮屍体標本を用い, 軸回旋, 側屈, 前後屈のトルクをかけた際の椎間可動域を本解析装置を用い計測し, 分離作成前後の値を比較した. さらに脊椎分離すべり症患者5名に対し, 本解析装置により腰椎体軸まわり回旋角度を解析した. その結果以下の知見を得た. 分離作成による椎間可動域増加率は, 測屈, 前後屈に比し回旋時に大きかった. 脊椎分離すべり症では正常例と比較し, 分離椎間での回旋不安定性の著明な増大が観察された.
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