研究概要 |
コラーゲン遺伝子、特にα2(I)について、骨形成不全症およびエーラスニダンロス症候群との関係を研究した。研究は大きくふたつの方向から計画した。それらは、1.患者のcDNAを直接解析する。2.完全長のα2(I)コラーゲン遺伝子を供与されたので、これを用いてゲノムDNA制限酵素多型(PFLP,Rostriction Flagmant Length Polymorphism)を観察する、の2点である。 1.については前年度より引き続き、患者皮膚の組織培養を試みた。しかし、汚染はどうしても落とすことが出来ず、この標本は廃棄した。 2.について、これも前年度より引き続き、大分日赤センターの好意をえて供与された白血球浮遊液を毎週10人分程度受け入れ、一人分ごとにDNAを分離精製する操作を繰り返した。結局、約150人分の白血球浮遊液から最終的に137検体を精製した。これらは献血されたものからのもので、正常日本人集団として適切であると思われた。これらを電気泳動してサザントランスファーした。通常の研究のためには、ここでは^<32>Pを用いて検出系を組むのであるが、出来るだけ臨床検査に近くしたかったので、あえて放射性同位元素を含まない系をテストした。ひとつはビオチン=アビジン系を利用したもの、もうひとつはジゴキシゲニン=抗体系を使ったものである。種々テストした結果、結局検出感度は固定されたフィルターのバックグラウンドによる、ということがわかった。しかもバックグラウンドは検出のシステムの違いではなく、フィルターのブロッキングに依存することがわかった。よって、実際の実験はこの二種を混在させて行うこととした。こうして得られたRFLPのうち、まず制限酵素EcoRIによるもののみについて、学会での報告を予定している。
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