研究概要 |
合成ハイドロキシアパタイトの軟部組織との反応を見るため多孔体ハイドロキシアパタイト塊を10匹の純系ウィスターラットの前脛骨筋と脛骨々膜の間に挿入した. X腺所見では2週間以上埋入した8例中6例に, 多孔体合成ハイドロキシアパタイトの脛骨に接する面では, ハイドロキシアパタイトと脛骨々膜との間に骨髄性骨化と思われる骨化像が認られた. また合成ハイドロキシアパタイトブロックと筋肉とが接した部では8例全例で薄い線維組織が介在した. その線維組織は, ハイドロキシアバタイトブロックのpore内へと挿入を認め, ハイドロキシアパタイト表面より線維組織の最も深く侵入した部位までの距離を侵入深度として計測した. 侵入深度は最大部位で350ミクロンであったが, 51〜150ミクロンのポアーが最も多く, 次いで101〜150ミクロンの侵入深度を有するポアーが多かった. さらに同組織と, 合成ハイドロキシアパタイトの結合部における結合強度を調べるために引っ張り試験を行った. その結果12mm2の結合面における最大荷重時の荷重は, 115g, 114gで単位面積当りの引っ張り強度はそれぞれ950g/cm2, 958g/cm2であった. これらの事より合成ハイドロキシアパタイト〓は骨膜性骨形成能があると考えられ, また筋組織の反応より合成ハイドロキシアパタイトはポアー内に侵入した線維性結合組組織を有して筋組織と結合する事が確認された. 今後は以上の結果を踏まえて合成ハイドロキシアパタイトを軟部組織の結合をさらに観察する為, 結合面の組織学的観察, さらに腱組織と合成ハイドロキシアパタイトの結合及び, 結合強度の測定等を行ってゆく予定である.
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