合成ハイドロキシアパタイトの軟部組織との反応を見るため多孔体及び緻密体合成ハイドロキシアパタイト塊を20匹の純系ウィスターラットのアキレス腱と脛骨の間に埋入した。合成ハイドロキシアパタイトブロックと腱とが接した部位では20例全例で薄い線維組織が介在した。その線維組織は、ハイドロキシアパタイトブロックのpore内へと侵入を認め、ハイドロキシアパタイト表面より線維組織の最も深く侵入した部位までの距離を侵入深度として計測した。侵入深度は最大部位で350ミクロンであったが、51〜150ミクロンのポアーが最も多く、次いで101〜150ミクロンの侵入深度を有するポアーが多かった。さらに同組織と、合成ハイドロキシアパタイトの結合部における結合強度を調べるために引っ張り試験を行った。その結果12mm^2の結合面における最大荷重時の荷重は、115g、114gで単位面積当りの引っ張り強度はそれぞれ950g/cm^2、958g/cm^2であった。これらの事より合成ハイドロキシアパタイトには骨膜性骨形成能があると考えられ、また筋組織の反応より合成ハイドロキシアパタイトはポアー内に侵入した線維性結合組織を介して腱組織と結合する事が確認された。今後は以上の結果を踏まえて合成ハイドロキシアパタイトと軟部組織の結合をさらに観察する為、結合面の組織学的観察、さらに緻密体と合成ハイドロキシアパタイトの結合及び結合強度の測定等を行ってゆく予定である。
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