合成ハイドロキシアパタイトの軟部組織との反応を見るため多孔体及び緻密体合成ハイドロキシアパタイト塊を40匹の純系ウィスタ-ラットのアキレス腱内に埋入した。合成ハイドロキシアパタイトブロックと腱とが接した部位では40例全例で薄い線維組織が介在した。その線維組織はハイドロキシアパタイトブロックのpore内へと侵入を認め、ハイドロキシアパタイト表面より線維組織の最も深く侵入した部位までの距離を侵入深度として計測した。侵入深度は埋入直後より経時的に増加を示し、埋入後6週で最大210±10ミクロンとなり、その後一定となった。さらに、同組織と、合成ハイドロキシアパタイトの結合部における結合強度を調べるために引っ張り試験を行った。腱とハイドロキシアパタイトブロックが剥離するまでの単位面積当りの引っ張り強度は、埋入後4週より急速に増加し、埋入後8週で1.3±0.3kg/cm^2と最大を示し、それ以後、引っ張り強度は変化を認めなかった。また、非脱灰研磨標本による観察では、ハイドロキシアパタイトブロック周辺に新生骨組織や石灰化は認められなかった。これらの事より、合成ハイドロキシアパタイトには骨膜性骨形成能があると考えられ、また腱組織の反応より、合成ハイドロキシアパタイトはpore内に侵入した線維性結合組織を介して腱組織と機械的な結合をする事が確認された。今後は以上の結果を踏まえて、合成ハイドロキシアパタイトと軟部組織の結合をさらに観察するため、結合面を組織学的に観察し、合成ハイドロキシアパタイトの結合強度をもたせるための何らかの骨誘導の補助手段の研究等を行っていく予定である。
|