研究概要 |
慢性関節リウマチの動物モデルとして大腸菌O:14株加熱死菌を家兎に感作し, 慢性関節炎を発症せしめた. 大関節である膝には4ヵ月で組織学的に潰瘍表層細胞の多層化, 表層下の浮腫, 表層へのフィブリノイド沈着が認られた. 感作10ヵ月では滑膜へのリンパ球浸潤がこれらに加わり, 免疫組織学的に表層のフィブリノイド沈着部で1gGやフィブリノーゲンの局在が観察された. また局所での形質細胞によるIgG産生所見も認められRA類似の滑膜等が形成された. 一方血清中には感作後3週よりリウマドイド因子様物質(以下RFLS)が出現しはじめ, 感作4ヵ月では90.9%に陽性となった. これは家兎変性IgGで感作したヒツジ赤血球を凝集せしめるものでヒトRAにおけるリウマトイド因子と同様な活性を示したと言える. 以上の結果を踏まえて, 今後はRFLSの関節炎発症における役割をさらに詳細に検討すべく, 1.関節内におけるRFLSの動態の把握, 2.RFLS性状分析等を行っていく予定である. 具体的に延べると1.免疫組織化学的に滑膜におけるRFLS活性物質の局在を検索する. 大腸菌感作後血清RFLSが出現した時点において膝関節に薬剤注入や関節内処置を加えて血管透過性を高めRFLSを関節内に誘導し, その動態を観察する. 2.酵素抗体法(ELISA法)を用いてRFLSの各種IgGへの反応態度の分析および免疫グロブリンとしてのサブクラスを決定する, などを次年度研究の予定とする.
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