研究概要 |
以前, われわれは移植床の血行の良いラットの背側正巾部に4×6cmのaxal pattern tlapのpanncuus casnosusを含む植皮片を作製し, 植皮片内の静脈還流路の有無による植皮片の生着率を比較検討した結果, 静脈還流路のない植皮片は全例壊死になるにもかかわらず, 静脈還流路のある植皮片は表皮壊死を起こすが全例生着することを報告した. しかしながら移植床が血行不十分な場合には動脈血または静脈血の流入のない静脈還流路のみの植皮片では生着し得ないことも判明した. この実験結果より, 静脈血がone-wayに流入流出すれば, 移植床が血行不十分な場合でも植皮片は生着するのではなかろうかと考え, この条件を満たすモデルとして家兎の耳を使用し, 軟骨面を血行不十分な移植床と想定した実験モデルを作製した. 1.実験方法 グループ1:家兎の耳の中央に4.5×3.0cmの植皮片を作製, この部位で植皮片内に入るすべての動静脈神経を切離した群(10耳) グループ2:group 1と同じく3.0×4.5cmの植皮片を作製し, 中心静脈のみ温存した群(36耳) 検索方法は, 経時的な肉眼的観察, microangiograpCuy, 組織学的検索をおこなった. 2.実験結果:Group 1は肉眼的組織学的にも10耳全部が完全壊死を呈した. Group 2は36耳中16耳は術后2週間以内にmicroangiograpCeyを施行したため残り20耳につき検討した. 20耳のうち18耳は生着し残り2耳は部分壊死を生じた. 3.結語兎耳の軟骨面を血行不十分な移植床と想定して, 軟骨膜を含む4.5×3.0cmの植皮片を軟骨上で作製し, その中央を走行する中心静脈のみ温存する場合でも植皮片は生着可能なことを証明した.
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