幼若ラットおよび幼若家兎を用い、寛骨臼二次骨化中心出現時期を検索した。その結果、ラットでは生後2〜3週、家兎では3〜4週で出現し、次第に大きさを増して10〜12週で骨化が完成する。これら二次骨化中心のうち、恥骨のそれが最大であることが判明した。 経耳的脳下垂体切除ラットでは成長遅延が見られたものの、これと相対応して寛骨臼二次骨化中心の出現時期に遅延が認められたが、正常群のそれとほゞ同じ期間で骨化の完成をみた。寛骨臼の形態は正常と同じで、形成不全は認められなかった。 一方EHDP投与群において成長軟骨帯の石灰障害は認められたものの、骨化中心出現・閉鎖の時期は正常群と同様であった。 4週齢雄幼若家兎を用い、3週・4週間微弱直流電流による通電刺激を行なった。電極の埋め込みに際しては、陰極を恥骨中枢側より二次骨化中心へ向かい刺入し、陰極先端は恥骨二次骨化中心に達する様にした。陽極は大転子部の筋肉内に固定し、刺激装置本体は腹部皮下に置いた。 寛骨臼の発育については、深さでは、3週通電群で対照側と比較して5%の危険率で有意の差を認めた。4週通電群で有意差は認められなかった。径については3週、4週通電群とも優位差は認められなかった。 組織学的には、成長軟骨帯の増幅、特に増殖細胞層の増殖を認めた。しかしこの軟骨増殖も電極周囲のみで成長軟骨帯の不整を起こす程度にとどまった。 以上の実験結果から、微弱直流電流刺激により成長帯骨化過程に何等かの影響を及ぼす可能性は示唆されたものの、一定の傾向をうることは出来なかった。
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