研究課題/領域番号 |
62570693
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
糸満 盛憲 北里大学, 医学部, 助教授 (70104528)
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研究分担者 |
藤江 裕道 北里大学, 医学部, 助手 (20199300)
山徳 義郎 北里大学, 医学部, 講師 (70146463)
馬渕 清資 北里大学, 医学部, 講師 (70118842)
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キーワード | 多関節マイクロロボット / 骨癒合 / 剛性試験 / 動物実験 |
研究概要 |
適度な力学的刺激が骨折治癒を促進することは広く知られている。しかし、刺激の種類によっては量的にわずかでも癒合を妨げる危険性のあることが臨床結果から予測されている。本研究では多関節ロボットを用いた動物実験により、力学的刺激の骨折治癒におよぼす影響を調べた。 実験動物として家兎を選択し力学的条件を均一にするために実験の全期間において全身固定した。骨折を作成する左の下肢を創外固定した。固定の後、左脛腓骨骨幹部に骨折を作成した。骨折作成の翌日から、多関節ロボットを用いてくり返しの力学的刺激を骨折部に与えた。与えた刺激は圧縮刺激、ねじり刺激、曲げ刺激の3種類とした。対照として、刺激だけを与えず他の条件を同一にした家兎を2羽飼育した。骨癒合度の測定は、同様のロボットを用いたin vivoでの骨折骨の剛性試験によった。剛性試験を骨折前に1回、骨折後3日に1回行なった。また、剛性試験と並行して、X線撮影を行なった。さらに、骨採取後に軟X線撮影、病理組織学的検討を行った。 圧縮刺激をあたえた骨折骨は、無刺激の骨折骨と同様の剛性変化を示し、骨折後20日ほどで癒合した。しかしながらX線像、ならびに何X線像において骨の無機成分の増加がみられた。それに対し、ねじり刺激、曲げ刺激をあたえた骨折部は癒合不全、もしくは偽関節状態を呈した。無刺激のものに比べ剛性値の回復が遅れ、あるいは回復がみられなかった。X線像、軟X線像でも多量の仮骨は認められたが、骨の連続性が絶たれていた。さらに、病理組織学的検討の結果、ねじり刺激と曲げ刺激をあたえた骨折部はムコ多糖成分に富み、軟骨状態を呈していることが判かった。 圧縮刺激により骨塩量が増加し、成熟した骨組織を得るが、ねじり刺激、曲げ刺激により癒合が遅延、停止することが判かった。
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