研究課題
昨年度は末梢神経腫瘍の良性腫瘍と悪性腫瘍の微細構造の特色、構成する細胞のタイプとその組成を調べ、これら細胞における線毛の出現頻度を計測した。本年度は、これら各々の細胞で、末梢神経腫瘍の悪性度との関連を理解する上で核の歪み(形状係数の測定)、核内の核小体あるいは核内小体の占有率を計測し、この値を上記腫瘍群の間で統計分析した。核の歪み(異形性)の分析結果は、悪性腫瘍よりは良性腫瘍に異形性のある核が多い事を示した。これは、悪性度との関連で末梢神経腫瘍の核の異形性を評価できないが、一般に信じられている悪性腫瘍細胞核で核小体の容積が増加するという仮説は、本腫瘍の電顕計測学的な解析によっても支持された。核小体の容積は、正常神経や良性腫瘍よりも悪性腫瘍において最も高い値を示した。核内小体の容積についても悪性腫瘍で同様に高い値を示している。核小体、核内小体とも細胞のタンパク質合成と深く係わった構造であるため。これら構造の増加は腫瘍組織における悪性度あるいは増殖性と関係があと考えられる。
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