研究概要 |
これまで、骨や骨肉腫組織には、間葉系細胞を刺激して骨誘導をもたらす物質が存在することが明らかにされ、骨形成因子 (Bone morphogenic protein,BMP) と呼ばれている。我々は、このBMPの臨床応用を目的として、生体において低刺激かつ自己融解能を有するコラーゲン生体材料を基質とし、これにBMPを吸着せしめた移植実験を行った。 1.研究方法 1) 牛骨ならびにハムスターOs515骨肉腫からのBMPの分離 2) BMPを以下のコラーゲン生体材料 (日本医用高分子材料研究所の提携) に吸着させ、BMP・コラーゲン複合体を作製 (1) コラーゲンスポンジ (2) 2%コラーゲン溶液 (3) 荷電コラーゲン膜 3) BMP・コラーゲン複合体をマウスの筋肉内、そして骨欠損部分に移植 2.結果 BMPをいずれの型のコラーゲン生体材料に吸着 (混和) させても、生体内での骨誘導が観察させた。しかし、骨欠損部での骨形成能は、筋肉内でのそれに較べ劣ることがわかった。また、上記のコラーゲン生体材料のうちでは、コラーゲン溶液が骨誘導を引き起こすに最も有利であると思われた。 3.結論 これまで、BMP単独移植では生体内に確実に骨誘導を起こすことは困難であったが、BMP・コラーゲン複合体とすると極めて高率に豊所性の骨化を起こすことが可能であることが判明した。
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