1.関節軟骨および繊維軟骨である半月に照射し軟骨の修復変性を予防可能なレーザーは炭酸ガスレーザーであり、出力は3W以下の低出力である。3Wではレーザー照射時間により熱損傷を惹起する場合があるために、1W以下300〜500mWが適当であった。 2.ウサギおよびビーグル犬の膝関節を用いた動物実験を行った。ウサギは膝関節を切開し、関節軟骨に1Wの炭酸ガスレーザー照射を行い、同時に半月炭酸ガスレーザー焼却を出力5Wで行った。関節縫合後、4〜12Wで膝関節をとり出した。半月の焼却部は変性もなく辺縫も平滑であった。関節軟骨照射部位は周辺とほぼ同一であった。病理学的にも炭酸ガスレーザー照射は半月および関節軟骨に熱損傷変性を認めなかった。ビーグル犬では関節切開し、関節軟骨に低出力炭酸ガスレーザー照射し、半月焼却も行った後関節縫合し、1ヶ月おきに関節鏡視により関節内観察を6ヶ月間施行した。関節軟骨は肉眼的に変化が認められず、半月は術後1ヶ月で修復されていた術後6ヶ月目に膝関節をとり出し病理学的検討を行ったが、半月関節軟骨ともにレーザー照射による熱変性は認めず、非照射部位との間に差を認めなかった。 3.臨床的には、半月レーザー焼却後に膝関節大腿骨内顆に3-10Wのレーザー誤射が起り、熱変性所見を示した。1年後に同膝に関節鏡視を行ったが、半月焼却部は変性を認めたが、関節軟骨レーザー照射部は軽度変性所見を遺残させるものの色調は非照射部位と変化がなかった。X線上にも変化を認めなかった。 4.低出力炭酸ガスレーザーの関節軟骨への照射は関節軟骨に経時的変化を起こさず、X線上の変化も認めなかった。
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