1.YAGおよびアルゴン・ダイレーザーは近可視光および可視光のため半月や関節軟骨の乳白色視、射体では反射してレーザーの効果は発揮しない。炭酸ガスレーザーは遠赤外線のため対象物の色調に関係なく作用、面吸収型のため熱による変性が表面に限局され深部に到達しない。10W程度でOレーザーの焦点を絞れば0.1〜0.5mm程度の影響であるために障害された軟骨を処置し周囲に影響を起さない。レーザーは人工とはいえ光であり300〜500mWの低出力レーザーは光の有する多彩な光化学作用も利用できる。 2.ウサギおよびビーグルを用いた動物実験では、熱変性を起こす程の高出力で炭酸ガスレーザーを関節軟骨に照射すると影響は12W後も遺残していた。照射出力は500mW前後が適当である。照射後の関節軟骨は肉眼的にも、病理学的に時間が経過しても変性変化か出現することはなかった。前十字靭帯を切離した実験的変形性関節症では低出力炭酸ガスレーザーの照射によって変性進行をコントロールを歓声軟骨に照射して歓声鏡視で経持的観察では歓声軟骨に変化なく、病理学的にも変性所見は認められなかった。 3.臨床的には関節鏡視下炭酸ガスレーザー半月切除時に、炭酸ガスレーザー10W出力が関節軟骨に誤射され関節軟骨に熱変性を生じ、肉眼的にも関節軟骨は変性したが、1年後の関節鏡視では色調は周囲非照射軟骨と差がなく、軽度の軟骨軟化を認めたのみであった。X線上にも照射部位に変性性変化等の所見は認めなかった。
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