前年度に引き続き、エンドトキシンショック並びに低酸素状態の微小循環への影響をみるため、ラット用生体透過型顕微鏡(灌流装置付属)下にラット腸間膜を用いて行った。Wistar系ラットを用い、腸間膜微小循環系の像をハイスピードビデオに録画し、これを再生して毛細血管の血流速度や血管径を測定した。微小血管の拡大・縮小などの連続的径変動は、イメージ・スプリッティング法でテレビ投影像をみながら血圧変動とともにリネアコーダーFに記録することによりショック及び薬物の微小循環に与える影響を観察した。 前年度までの研究で、エンドトキシン(以下ET)投与下でのラットに抗ショック薬ウリナスタチン(以下UST)を投与すると、腸間膜の細小動脈径の拡張が抑制され、血圧も上昇することが判明している。今年度はUST投与をET投与に先立って行ってみた。同じETショック例のラットでも、USTをET投与に先立ち予防的にivした群とET投与後にivした群とでは、前者の方が腸間膜血管の拡張抑制が軽度なのに血圧が高く、血流速度が維持できており、USTを予防的に投与することがETショックの諸症状を軽減できることを証明した。 やはりETショックモデルのラットでF^10_20.15の状態にして腸間膜血管の微小循環動態を観察した。その結果、時間経過とともに血管径の拡張が見られるが、同時にノルエピネフリン1μg滴下に対する収縮率は増加し、それに対する過敏性をきたしており、低酸素も同様に収縮促進することから、低酸素性肺血管収縮はETショック時には促進されると推定できた。
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