ハロゲン化麻酔薬の肝障害作用の機序をラットのヘパトサイトを用いて検討した。実験群を培養ガスにより95%酸素下1.無麻酔群 2.2%ハロセン群 3.1.5%セボフルレン群 4.1.5%エンフルレン群 5.1.2%イソフルレン群に、また5%酸素下6.無麻酔群 7.2%ハロセン群 8.1.5%セボフルレン群 9.1.5%エンフルレン群 10.1.2%イソフルレン群の10群にわけた。37℃で45分間培養した。生存率は1群6%、2群12%、3群10%、4群9%、5群6%、6群12%、7群20%、8群15%、9群9%、10群15%低下した。GOT、GPT、LDHは全群で上昇し、その程度は10群>7群、8群>4群>2群、6群、9群>3群、5群、1群であった。ATPは1群30%、2群50%、3群60%、4群75%、5群90%と増加した。又6群不変、7群25%、8群27%、9群14%、10群18%と逆に減少した。エネルギー荷は1群2群で10%、3群4群で14%、5群で25%上昇した。逆に6群6%、7群10%、8群8%、9群5%、10群14%低下した。ATP/ADP・Pi比は1〜5群と10群で上昇したが6〜9群では変化しなかった。グルコース、乳酸、ピルビン酸、L/P比は全群で上昇し、グルコース、乳酸、L/P比は6〜10群で、ピルビン酸は1〜5群で大幅に上昇した。95%酸素群で生存率とエネルギー荷間にr=+0.36、P<0.01、5%酸素群で生存率とATP間にr=0.52、P<0.01、L/P比間にr=-0.36、P<0.01の相関があり、両群の酵素遊離と生存率間、エネルギー荷間、ATP間、L/P比間にも有意の相関があった。以上より、5%酸素群では95%酸素群より肝細胞障害が強く生じ、ハロゲン化麻酔薬はその細胞障害を相加的に強めた。また細胞障害の進行にはエネルギーレベル、細胞代謝が関与すると考えられた。
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