術前における呼吸筋の疲労状況と術後肺合併症発生との関係を明らかにする事を目的として、上腹部手術例を対象として研究を行い以下の結論を得た。 1.35例中4例(11.4%)に肺炎及び無気肺などの術後肺合併症を認めた。発生例の内3例は、所謂老人例であった。 2.非発生例に比して発生例における吸気負荷遂行時間及びMIPは夫々少なかった。又%肺活量並びに一秒率は、発生例においても正常であったが、肺合併症発生予測スコアの点数は発生例ではいずれも12点以上と、高値を示した。 3.栄養摂取をIVHに依存している例では、経口摂取群と比べて栄養状態には差が認められなかったが、%V^^025は減少し、一方CV/VCは増大していた。従って、IVH群では末梢気道の病態が悪化している事が示唆された。 4.術後肺合併症発生例では手術前より呼吸筋が疲労しやすい状態にあったと思われるが、肺合併症発生例が少なかったので推計学的処理を行いえなかった。今後は症例数を増やして得られた結果を明らかにする予定であるが、呼吸筋力の動態をより簡別に知る方法も検討する必要があると思われた。今回行ったMIPとMEP測定は、この面からも良好である。
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