研究概要 |
実験第1段階として0.05%BBNの投与時期を6週間とし, LH・RH analogue(1mg/kg, depot)の投与はBBNの投与開始時期と同時とした. 実験群は(1)age mutched-control(2)BBN投与(3)LH・RH投与(4)LH・RH+BBN投与(5)を去勢(除睾丸術)とした. LH・RH analogueの投与にてラット, テストステロンの値は, 第1日目には正常値の5〜6と上昇したが1週目以後は去勢値となった. LHおよびFSHも同様の変化を示した. (第75回日本泌尿器科学会総会において発表) 次に, この条件下での腫瘍病変の発現頻度を比較した. BBN単独投与群では, 諸家の報告と同様の発癌パターンが観察されたが, BBN+LH・RH analogue投与群では, 8週時点での内眼的病変数, および乳頭腫, 癌, 上皮内癌の発生頻度がBBN単独投与群に比して高かった. その後, 20週, 26週では癌および上皮内癌の頻度は逆に低値となった. このことは, LH・RH analogueの投与時期に問題があったと考えられた. 即ち, LH・RH analogue投与直後より約1週間の間は, testosterone値は増加し, このことがBBN発癌のinitiationにむしろ促進的に作用し, その後のcastration phaseは発癌のpromotion期と一致し, この時点でtestosterone不在が発癌に関して抑制的に作用したものと考えることも可能である. 現在, この点を明確にするための実験が進行中である.
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