研究概要 |
1.ラット前立腺の微小解剖においては, 生後成長時における前立腺各葉の腺管形態発生が明らかにされ, マウス前立腺と同様の腺管分枝を認めた. 特に, ラット前立腺においては側葉は2つの腺管構造の異なる葉に分かれることが明らかにされ, その形態発生の差および生化学的にも, ホルモン依存性に差異があることもわかり前立腺が形態的かつ機能的に異質性に富むことが再確認された. 2.生後初期の性ホルモン環境は前立腺の生長において重要であることが知られているが, 生下時より1〜3日間にdihydro testosterone(DHT)とdiemylstil bestrol(DES)の投与が生後の前立腺にどのような影響を及ぼすか検討中である. 今までのところ, DES単独投与群において有意に腺管分枝形成が抑制され, これはDHTの併用により防止はできない結果を得ている. 更に, DESとDHTの同時投与群においては前立腺管発達の抑制とともに後側葉末端部において結節様の異常形態を認めており, この形態を今後組織学的に検討していく予定である. 3.dimethylaminobiphenyl(DMAB)を用いた前立腺発癌実験は, 今まで主にラットにおいて行なわれてきたが, 我々はマウスを用いて萎縮した前立腺がアンドロジェンを投与することにより増殖すると同時にDMABを投与しこれをくり返すシステムを用いて現在検討中である. 本年度より投与開始し来年度から微小解剖法を用いて前立腺癌が腺管のどの部位から発生しやすいか検討を予定している.
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