研究概要 |
泌尿器科領域におけるインターフエロン(IFN)の有効性は臨床的に腎細胞癌のみに認められるとされているが, 時には尿路上皮癌に有効の報告もある. このことは, どのような泌尿器科癌にIFNが有効か識別できる方法の開発が望まれる. われわれは, この解決策の1つとして各腫癌のIFNレセプターアッセイとIFNαとIFNγの単独効果ならびに併用効果の検討をIN VITROで行った. <結果> 1:レセプター数とIN VITROにおける効果とは, ほぼ一致した結果を得た. すなわちKPK-1, DU-145, PC-3等の細胞癌はレセプター数が多く, 特にKPK-1のIFNαレセプターは多く, このレセプターはフリーのIFNαによりブロックされるがIFNαではブロックされず, その特異性を証明するものと思れた. 一方, J-82, 5637株のαレセプター数は少なく, IN VITROにおいてもIFNαの細胞増殖抑制はほとんど認められなかった. しかしMGH-U1のようにαレセプターが比較的多いのにKPK-1と比較すると, その細胞増殖抑制効果は低値を示すものもあり, レセプター数が少なければIFNに対する感受性が低いといえるがレセプター数が多くても一概に高感受性をしめすと判定するこはできなかった. しかし低レセプター数をしめす癌細胞にIFNを投与することは無意味であるといえた. 2:培養癌細胞株の種類によりIFNαとIFNγに対する感受性は異なっていた. KPK-1のように両者に高い感受性を示すもの, 5637のようにIFNαには, ほとんど感受性がないもののIFNγには高感受性をしめすもの, J-82のように両者にほとんど感受性をしめさない等様々であり, 臨床においても, このようなことを念頭におく必要が痛感された.
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