腎細胞癌株KPK-1はインターフエロン(IFN)αレセプターが多く、それと反対に膀胱癌株J-82はレセプターが少ない。一方in-vitroにおける抗腫瘍効果(増殖抑制効果)はレセプター数と一致した。しかし他の一部の培養細胞株においてはレセプター数が多くても必ずしも良好な増殖抑制効果は認めなかった。しかしレセプター数が少ない場合にはIFNに対する感受性はないものと思れた。これらの事実をもとに下記の実験を行い以下の結果を得た。 1.IFNαとIFNγのレセプター結合部位の違いについて それぞれのα Competition Assayを行いIFNαとIFNγの結合部位は異なることを証明した。 2.INFの処理によるIFNαとIFNγレセプターの変化について INF100JRu/mlの24時接触によりIFNαレセプターの著明な増加をしめす培養株がみられた。特にDU-145(前立腺株)においてはレセプター増加に伴う増殖抑制効果がIFN単独時のそれと比較して増強されており相乗効果が認められた。しかし膀胱癌株J-82においては140%とレセプター数の増加が認められるにもかかわらず、増殖抑制は単独時と同様ほとんど認められずF-82においてはIFNに対する感受性がないものと思われた。IFNγにおいてはレセプター数のTNFによる変化は少なく、TNFはIFNγレセプターにはほとんど影響をあたえないものと思われた。 3.IFNαとIFNγの併用効果 KPK-1においてはIFNα単独時51.5%、IFNγ単独で89.6%の増殖抑制効果をしめしたが併用により抑制効果は24.2%であり相乗効果が得られた。すなわち検討した7種の培養細胞のうち3腫瘍株に相乗効果が認められた。
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