泌尿器科領域においてインターフェロン(IFN)は腎細胞癌に約20%の有効率をしめすがIFNが有効なのか無効なのか投与前に解明できればいいわけであるが、IFNの性質上簡単なものではない。今回われわれはIFNレセプターを測定することにより、その抗腫瘍効果を推測できるかどうかを検討し、またTNFによるレセプター数の変化とIFNαとIFNγの併用効果INVITROで検討した。 実験材料と実験方法; 使用した培養癌細胞は腎細胞癌株KPK-1、KPKー13、膀胱癌株Jー82、5637、MGHーU1、前立腺株、DUー145、PCー3、であり対照として正常皮膚線維芽細胞、NSFー1も使用した。レセプターの測定はIー125ラベルしたIFNαとIFNγを用い特異的結合能を測定した。INVITROにおける感受性は96wellのマイクロプレートを用い、クリスタルバイオレット染色法でおこなった。 実験結果; 1.腎細胞癌株KPKー1はIFNαのレセプター数が多く、またIFNαに対する感受性が強かった。それに反しJー82はレセプター数が少なく又、感受性も低く、レセプター数と感受性は一致した。しかし他の癌細胞は必ずしもレセプター数と感受性は一致せず、レセプターが少なければ感受性はないと言えるが多かった場合は感受性、すなわち増殖抑制の程度はさまざまであった。 2.TNFの前処理によりレセプター数が増加するものがあり、その併用による有用性が示唆された。 3.IFNαとIFNγとの併用により7腫瘍株のうち3腫瘍株に相乗効果が認められた。
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