尿中蓚酸カルシウム結晶成長抑制因子としてのGAGと蛋白の関与について、2つの方法で検討した。 1)尿中より多量のGAGを収量するため、尿の塩化セチルピリジニウム沈澱分画を使用した。沈澱分画をゲル濾過、イオン交換カラムによりGAG分画と蛋白分画面分離した。Robertsonの方法による蓚酸カルシウム結晶成長阻止活性測定法を用いて両者の結晶成長阻止能を測定したところ、両者に阻止活性が認められた。その阻止活性を濃度あたりでみると120ug/mlでは蛋白分画がGAG画の約2倍の活性を持ち、30ug/mlではほぼ同等のかつ性をもつことが示された。GAG分画を2次元電気泳動法で定性すると、コンドロイチン硫酸AおよびCとデルマタン硫酸が同定された。蛋白分画をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で定性すると、分子画68000、38000、2000の3種類の蛋白が分離された。 2)分子量3万以下をカットするメンブレンで尿を濾過、濃縮した後、イオン交換カラムにかけ、塩化ナトリウムでグラディエントをかけたところ、2つの蛋白分画と1つのGAG分画を得た。これらの分画の結晶成長阻止能を測定したところ、荷電量の高い蛋白分画とGAG分画に阻止能が存在した。GAG分画を2次元電気泳動法で定性したところ、コンドロイチン硫酸AおよびCとヘパラン硫酸が同定された。荷電量の高い蛋白分画をゲル濾過で分離すると、最も強い阻止能が分子量45000の蛋白に認められた。 以上の結果より、 (1)尿中蓚酸カルシウム結晶成長阻止能は、GAG分画にも存在しその主体はコンドロイチン硫酸AおよびCとデルマタン硫酸およびヘパラン硫酸である。最も強い阻止能を持つ蛋白は、分子量45000のものと考えられる。
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