研究概要 |
薬物(自律神経薬剤や抗男性ホルモン等)の使用中にしばしば勃起不全や射精障害がみられる. しかし男子性機能は心理的にも影響を受けるので, 本当に薬物による影響かどうか判定することは困難である. そこでわれわれは性機能を調査する際, できるだけ心理的影響を受けない調査表の作製と, 特殊な装置を必要としない誰にでもできる勃起機能検査とを組合わせることにより薬物の男子性機能に及ぼす影響を判定できるかどうか検討してみた. 1.性機能調査表の作製:性機能の構成要素である性欲, 勃起, 性交, 射精, オーガズムについて, その状態に応じて4段階に分け対数表示(0, 1, 3, 10)L, scoreが大きいほど状態が悪いことを示し, これら各要素のscoreの総和で性機能を判定することにした. この調査表を使用し性機能に影響があることが既に判っている抗男性ホルモンを前立腺肥大症患者に投与し, 投与前後で性機能を調査し, この調査表の有効性を検討した. その結果等間隔表示法では投与前後で有意の差はみられず, 本薬物が性機能に影響を与えるかどうか判らなかったのに対し, 今回の対数表示法では, 性欲, 勃起, 射精等に有意の低下がみられ, 本調査表の有効性が証明された. 2.エレクチオメーターによる勃起機能検査:テープ式エレクチオメーターを使用し前記薬物投与前後でエレクチオメーターが勃起状態を正しく表示するかどうかをマーキユリーストレンゲージをはじめとする各種勃起機能検査法を同時に施行して比較検討した. その結果, 多くの問題はあるが一応勃起状態は本法でも判ることが明らかになった.
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