研究分担者 |
有馬 正明 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60028636)
森 義則 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (80131598)
島田 憲次 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70068576)
谷澤 隆邦 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10126534)
和田 博義 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80018358)
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研究概要 |
I.膀胱尿管逆流(VUR)により引起される腎の不可逆性病変(逆流性腎症)の臨床統計: 小児原発性VUR666名, 続発性VUR112名をレ線形態的に検索し, 腎の成長と腎実値の瘢痕性病変を調査した. 1)腎の成長:レ線像上の腎長/椎体長比(腎長比)を用い, 腎長比が各年令ごとの平均値-2SD以下をsmall kidneyとした. small kidneyの頻度は原発性VURの15.5%,続発の24.1%で, その約80%は中〜高度のVURを伴っていた. このようなsmall kidneyの約50%は慢性腎盂腎炎による瘢痕性萎縮, 40%は先天性低形成と見なされた. これらの腎の成長を調べたところ, 手術的治療, 保存的治療のいずれの場合でも3/4の腎では初診時と経過中を通じてsmall kidney, 1/4では経過中にsmall kidneyとなっていた. 2)腎の瘢痕性病変:Smellie(1975)の分類に基づき, 腎瘢痕の有無を検討した. 原発性VURの18.6%, 続発性の43.3%に瘢痕が認められた. 腎瘢痕の有無とVURgradeには相関性がみられ, 逆流が高度になるに従い所属腎の瘢痕形成の頻度は高くなっていた. II.逆流腎の腎機能 :逆流防止術が加えられた症例について, 糸球体機能と尿細管機能を測定した. 1)糸球体機能: 内因性クレアチニンクリアランスCC2を測定した. 対象となった患児の70%は正常, 30%はCCr70ml/m以下の糸球体機能障害を示した. 総腎機能が正常の症例でも, 半数近くで一側CCr値が低下していた. 2)尿細管機能: 近位尿細管機能を示すFENa,B2MG尿中排泄率はともに糸球体機能とよく相関していた. 遠位尿細管機能として自由水再吸収率を示めたが, 患児の種々の条件により変動が大きかった. 以上の結果をふまえ, 逆流性腎症から慢性腎不全に進行する危険因子を検索する予定である.
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