研究概要 |
トロホブラスト特異抗原あるいは絨毛癌関連抗原を検出するモノクローナル抗原(MoAb)を用いて種々の癌における抗原の分布や特徴を検討した. TM7-3およびTM3-8は, 卵巣癌特に漿液生嚢胞腺癌と未分化腺癌, 子宮体癌分化型腺癌で陽性所見を示した. 腎癌(腺癌)では一部に陽性所見を示すものが認められた. TM5-1は検索した中では陽性所見を示すものは認められなかった. TM4-5およびTM3-3は, 検索した卵巣癌と80%の子宮体癌で陽性所見を示した. 各種細胞株を用いてTM抗体で検出される抗原量をcellular radioimnune assay法で検討した. 3.7×10^6個BeWoのもつTM7-3で検出する抗原量は, Helaの1×10^7個のそれに相当し, 同じく3.7×10^6個SCHのそれはHelaの7×10^6個に相当することが明らかとなった. PC-6, Kushi-18およびMKNは, 本実験系では感度以下の陰性であった. 次に, TM抗体で検出する抗原の生体内分布および腫瘍親和性(集積性)の有無などについても検討を試みた. ^<131>Iを標識されたTM7-3あるいはTM3-8を絨毛癌を移植されたヌードマウスに投与し, 3日目からガンヌーカラで経日的に撮影した. 3日目から明らかな腫瘍に一致したhotareaが認められたが, この時期ではまだ全身的にも非特異的な像が観察された. 6日目シンチグラフィー像では, ほぼ腫瘍部のみが明瞭に抽出された. この^<131>I標識TM3-8の腫瘍および各臓器における放射活性を比較検討すると, T/T ratio(cpm/g)は, 腫瘍(BeWo)1.0で他臓器は腸管の0.13から心臓の0.28までと選択的な^<131>Iの集積が確かめられた. さらに^<125>I標識されたTM3-8 100μciを絨毛癌をもつヌードマウス尾静脈から注射し, 4日後に全身オートラジオグラフィーを作製し15時間露出後に現像した. 甲状腺, 肺, 膀胱への非特異的な集積像と伴に明らかな腫瘍中央部を中心とする集積像が認められた.
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