研究概要 |
トロホブラスト特異抗原あるいは繊毛癌関連抗原を検出するモノクロナ-ル抗体の作製を試み、これらを用いて種々の癌におけるこの抗体に対する抗原の分布、特徴を検討し、さらに臨床応用への試みを検討した。 単クロ-ン抗体TM7-3,TM3-8の分布は、(1)正常ヒト組織において、胎児・成人臓器ともに、腎尿細管の一部、膵管上皮と反応し、他の臓器、組織とは反応しなかった。(2)腫瘍組織では子宮頸部偏平上皮癌と反応せず、子宮体部線癌、卵巣線癌などと反応した。(3)子宮体癌では、癌組織の分化度に関連して、高分化なものに抗原が認められる傾向を示した。(4)卵巣癌においては、とくに非ムチン性上皮性線癌に反応した。(5)TM-7-3,TM3-8の両抗体は、種々の癌組織において同様の反応パタ-ンを示した。(6)正常妊娠全期間を通して、その抗量に差は認められなかったが、繊毛癌においては増加傾向が観察された。 TM7-3とTM3-8の認識する抗原はinhibition testで同一か、極めて近いエピト-プ認識していると思われた。 TM7-3抗原量の各種細胞における比較では、3.7×10^6個のBeWoのもつTM7-3で検出される抗原量は、Hela1×10^7,SCH3,7×10^6に相当し、PC-6,KusHi-18およびMKNは、本実験系では感度以下の陰性であった。^<125>I、^<131>I標識抗体を用いたシンチグラフィ-実験では、腫瘍組織への集積像が観察され、摘出組織別のラジオアイソト-プの測定値は、腫瘍部分における選択的な^<131I>の集種が確かめられた。
|