研究概要 |
妊婦血清中のGM_2抗体価を, カラムクロマトグラフィーにより精製されたGM_2を抗原としたELISAにて測定した. 正常妊娠例及び胞状奇胎妊娠例にて高く, 流産例にて低い結果を得た. 危険率P<0.01で有意であった. 150例を計測し, 最も高い抗GM_2抗体価を示した胞状奇胎患者末梢血より, リンパ球を分離し, specific anti GM_2 cloneを増幅させる目的にて, GM_2によるinvitro stimulationを5日間施行し, 親株(KR-12)と細胞融合させた. HAT培地による選別を加え, 生育したHybridomaの培養上清を, GM_2を抗原としたELISAにてその抗体価を測定した. その結果, 微量の抗GM_2抗体産生株しか得られておらず, 現在, 有望な株の確立までには致っておらない状況である. さらに, 同一症例よりBcellを分離し, EBウィルスにてimmortalizationさせ, Bcell cloneを作製した. このcloneをlimiting dilutionによりさらに安定化を計り, その培養上清中の抗GM_2抗体価を測定したが, 高抗体価は得られていない. 以上, 今年度のまとめとしては, 抗GM_2抗体価測定法は確立できた. そして, ヒト・ヒトhybridomaは作製する事ができたが, specific cloneの確立には致っていない. 現時点で最も大きな問題は, 抗体産生〓側, 特にBcellのspecific cloneをいかに見つけ出すかである. 末梢血中のspecific Bcellは極端に少なく, Bcell sourceとしてリンパ節内リンパ球を使うのが最も良い方法と考えられる. 今後invitra stimulationやvaccinationなども可能であれば追加し, まずはspecific hybridomaの作製に全力をつくす予定である.
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